新型コロナウイルス感染拡大における通常総会開催について

区分所有法(第34条第2項)においては、「少なくとも毎年1回集会を招集しなければならない。」とされていますが、法務省からは「今般の新型コロナウイルス感染症に関連し、前年の集会の開催から1年以内に区分所有法上の集会の開催をすることができない状況が生じた場合には、その状況が解消された後、本年中に集会を招集し、集会において必要な報告をすれば足りる」との見解が示されています。

1.通常総会開催の場合

 ・密閉対策:窓などを開放し、会場の換気

 ・密集対策:席数の削減

 ・密接対策:座席間隔確保、質問者席の設置

・密集防止対策として、総会会場に来場することなく、議決権行使書又は委任状(理事長等を指定する)による方法を通知又は個別連絡により勧める方法が考えられます。

・出席者にはマスク着用、短時間の運営のため事前に議案書を熟読の上、書面にて質問を受け付ける配慮をします。

・発熱など体調不良の方は出席をお断りし、議決権行使などを勧めます

2.通常総会を延期せざるを得ない場合

理事会にて緊急時対応として通常総会を延期することと併せ、その間の管理組合運営は次の様に行うことを決議します。

・総会で後任役員が就任するまでは現役員が職務を行う。

・総会で次期収支予算が決定するまでは今期収支予算に従い予算執行すること。

・管理会社との委託契約は、従前契約と同一条件での暫定契約を締結すること。

組合員へは理事会決議事項を通知します。

理事長は組合員からの問い合せ、異議等については、真摯に対応します。これまでに経験ない事態であり、組合員の安全・安心のために、やむを得ず延期するものであることを理解してもらう。

3.通常総会を開催せず書面による決議で行う場合

区分所有法第45条第1項では、区分所有者全員の承諾があるときは書面による決議ができるとしています。これは全員の承諾が得やすい小規模マンションにおいて全員に異議のない事項を決定する際、集会を省略できることを目的としています。

緊急時の総会開催には検討する価値があると思われます。

以上、通常総会開催の留意事項ですが、感染拡大が続いています。「招集したから開催しなければならない」でなく、状況により中止する判断も必要と考えられます。